2021.01.05

岐阜県でいちばん小さな村から発信する情熱の赤

標高1,000m級の山々に囲まれた人口2,000人余りの東白川村は、岐阜県でいちばん小さな村です。村の90%が森林であることから、林業や木工・建築業が盛んで、高級建材として名高い「東濃ひのき」は村が誇る特産品となっています。

村の中央を流れる清流・白川、山間の澄んだ空気、広大な土地という環境を生かした農業も盛んで、「白川茶」や夏秋トマト「桃太郎」も、「東濃ひのき」と並ぶ、村の特産品です。

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▲はちきれんばかりに育った東白川村産「桃太郎」トマト

今からさかのぼること30年前の1992年、東白川村の特産品として「桃太郎」を使ったトマトジュースが新たに誕生しました。
東白川村は標高が高く、昼夜の寒暖差が大きいため、甘みのある高品質のトマトが育ちます。村のバックアップと安定した収穫が期待できることから、トマトは村の農業を支えるまでに成長。
ただ、生産が増える一方で、キズや割れ、色むらなど規格外のトマトも増え、残念なことにそれらは長い間、つぶして山に捨てられていたそうです。

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▲色むらや割れのあるものは山に廃棄処分されていました

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村雲さん

農家さんが丹精込めて育てたトマトは、その一つひとつが村の財産です。
どうにかしてこれを無駄にすることなく、おいしく届けることはできないかと考えてスタートしたのが、トマトジュースへの加工です

と話すのは、「とまとのまんま」を作っている「株式会社ふるさと企画」の代表・村雲さん。

コダマプロジェクトのメンバーでもある村雲さんに、村のヒット商品となった
トマトジュース「とまとのまんま」についてお聞きしました。

 

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▲「とまとのまんま」を作る工場「味の館」で村雲さんに工程を説明していただきました

トマトの収穫は7月末から11月初旬。村中の畑から納品された規格外のトマトをひとつずつ丁寧に検品し、手作業でヘタを取り除きます。

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▲慣れた手つきで素早くヘタをカット! 職人技です

洗浄を終えたトマトは細かく砕かれたあと、窯に入れられて95℃で加熱・殺菌。裏ごしされた後、さらにもう一度加熱をします。

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村雲さん

何が大変かというと、暑さです。窯を95℃まで熱し、蒸気を使ってトマトを加熱するので、加工場は40℃を超えます。それに、トマトを入れた窯が重いので、かなりの重労働なんです

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▲95℃で30分かけて加熱殺菌します。真夏にこの作業をしていることを想像するだけで汗が噴き出しそうです

収穫した時期によって糖度や色み具合が違うので、理想とする赤色のトマトジュースができず何度も試作を繰り返したといいます。

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村雲さん

東白川村は、“健康農産物の郷”として安心安全なモノづくりにこだわっています。食紅などの着色料を使わず、ピュアな状態でどうやって均一の商品を作るか試行錯誤しました

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▲できたての「とまとのまんま」。1瓶に完熟トマト約10個のおいしさがギュッと詰め込まれています

収穫時期によってばらつきのある味と色味は、独自のブレンド方法で均一になるように調整し、添加物だけでなく水や砂糖も加えない完熟トマト100%のこだわり抜いたトマトジュースが完成。

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▲「とまとのまんま」を作っているのは村に住む4人の女性。開発当初からジュースづくりをしているベテランさんたちです

日本では「トマトを作る家に胃病なし」、西洋では「トマトが赤くなると医者が青くなる」といったことわざがあるように、昔からトマトは健康食品として知られてきました。

トマト農家が多い東白川村では胃病が少ない…のかどうかは確かではありませんが、「余計なものを加えず自然のものをできるだけそのままに、トマトのおいしさを伝えたい」という想いは、完熟トマトに負けないくらいの真っ赤な情熱をたたえています。

(取材・文/まつおまいこ)

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