2020.06.29

コダマプロジェクト活動実践会
“山ミーティング” 開催①

年に1回、コダマメンバーが集まる活動実践会、通称“山ミーティング”が行われました。

“山ミーティング”とは、山のことを深く知り、コダマプロジェクトの商品開発や各々の仕事に活かせることはないか、体験や実践をもとに探っていこうという試み。ここで得た知識や経験が新しいインスピレーションを生み出すかもしれない、そんな可能性を探る実験の場でもあります。

ですが、難しい話は抜きにして、最大の目的はメンバーが心から楽しむこと。そして、楽しかった経験をほかのだれかに伝えていくことで、山の発展につなげていこうという気持ちで集まっています。

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まつおさん

今回はわたくし、まつおがリポーターとしてお伝えしていきます。

今回は12人のメンバーが、活動の拠点である岐阜県の東白川村へ集結。村でたった一軒となってしまった養蚕農家や、特産品のお茶を作る工場などを見学させていただきました。

村にたった一軒残った養蚕農家の見学へ

最初の見学先は養蚕農家のTさんのお宅。住まいの横に建てられた蚕専用の作業場でお話を聞きました。

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まつおさん

蚕と言えばシルク。シルクは、蚕の繭から作られる自然素材です。衣服はもちろん、最近では化粧品に使われることもあり、私たちの生活にとって身近な存在となっています。

コダマプロジェクトの商品、「コダマふとん」を仕立てる際に使う真綿も、実はシルクのこと。
自分たちの商品に関連するシルクがどのようにできているのか、さっそく見せていただきました。

見学させていただいたのは6月末。蚕は自分のお部屋に入って繭を作り、サナギになっていました。

段ボールのような素材でできた回転族と呼ばれるケースがいくつもぶら下がっていて、小さな仕切りの中にたくさんの繭ができています。

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Tさん

回転族を置いておくと、幼虫が自分でモソモソと動いて行って、好きな“アパート”を見つけるとそこでサナギになるんですよ

とTさん。“アパート”という表現に、親近感を感じます。

こちらで育てているのは、春嶺(しゅんれい)と鐘月(しょうげつ)という品種。ふっくらした形が春嶺、少し細長い形をしているのが鐘月だそう。幼虫が“アパート”に入り、繭になるまで約1週間。そろそろ出荷の時期です。

Tさんによると、日本では明治時代ごろから養蚕業が盛んで、東白川村にも430軒ほどの養蚕農家がいたのだそう。

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Tさん

当時はみんな、1階で蚕を飼育して、2階で糸を紡いでね。養蚕のために造られたような家に住んでいましたよ

しかし時代とともに繭の単価が安くなり、国内の養蚕業者は激減。続けていく人はどんどん減っていき、現在は村で養蚕を続けているのはTさんだけとなってしまいました。

たくさんの繭を、卵の状態から全部ひとりで育てているTさん。幼虫は桑の葉を大量に食べて育ちますが、その桑畑の管理も全部1人でされているそうで、なかなかの重労働であることが想像できます。

Tさんは、御年84歳。とてもはつらつとしていて

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Tさん

お蚕さんのおかげで、県外の取引先の人たちともつながりがあるし、こうしてみなさんのように訪ねてきてくださる方もいるし、動けるうちは続けていきたいと思っています

とおっしゃっていました。

たくさんの繭を回転族から外す作業は、なかなかの重労働。せっかくなので、メンバーもお手伝いさせていただくことに。

調子が悪かった機械を、“山のジェントルマン”こと、メンバーの田口さんが見事に修理! Tさんも喜んでくださいました。

『新世紀工房』で若手茶師の情熱にふれる

お蚕さんの興奮も冷めやらぬまま、次はお茶の工場『新世紀工房』へ。

『道の駅 茶の里東白川』に併設されたこの工房では、村の特産である白川茶を加工し『茶蔵園(さくらえん)』というブランドとして販売しています。

地域内の農家から仕入れた30種類以上の荒茶を独自の配合でブレンドしたお茶は、地元の人に親しまれるだけでなく、観光客のお土産としても人気の商品です。

工房に一歩入ると、荒茶がストックしてある大きな冷蔵庫が。

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田口さん

中はマイナス3℃。ひんやり気持ちがいい!

茶葉は畑から収穫して工場へ持ち込まれます。そこで一次加工として「蒸し」や「揉み」といった工程を経て荒茶となったものが、冷蔵保管されています。

さっそくテイスティングをさせていただきました。

水出しのお茶はスッキリとした苦みがあってさわやかな香り。

続いて出していただいたのは、「茶蔵園」の最高級「神賜」。口に含んだ瞬間に、お茶の苦みと旨みが広がり、豊かな味わいを感じます。

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茶師の森本さん

山と川に育まれた土地でできた茶葉は、そのもののポテンシャルが高く、深みのある香りと味わいが特長です。それをいかに最高のレベルで出せるかが勝負です。

お茶の見分け方についてもお聞きしました。

お茶の品質を確認する作業のことを「拝見」といい、「拝見盆」と呼ばれる黒い器に入れられた茶葉を、手触り、形状、色など外観などから品定めをします。

そして、次は「拝見茶碗」を使って、香りの鑑定です。熱湯を注いですぐに網で茶葉をすくいあげ、最初の香気をチェック。スプーンですくって味見をします。さらに、お湯の中で開いてきた茶葉の状態を見て、どういった性質をもつお茶なのかをここで判断するのだとか。

仕入れた何種類もの茶葉をブレンドして独自のお茶を作り上げるのが茶師の仕事。森本さんたちは、1日に100種類以上のお茶を拝見し、どれをどのくらいブレンドさせるのか、探求を続けています。

新茶のシーズンは、早い地域だと4月初旬から。
東白川村は、新茶ができるタイミングが遅い地域だそう。

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茶師田口さん

早いタイミングで収穫・出荷ができる地域に比べると不利な条件ではありますが、茶葉の品質としては岐阜県ではトップクラス。
地元の農家さんたちが一生懸命育てたお茶をもっと認めてもらうために、私たちの手で個性的なお茶づくりをしていかなくてはと思っています

地元愛にあふれた田口さん、森本さんの言葉。ふくよかなお茶の香りとともに、胸に染みました。

メンバーの“お宅拝見”からの夜ミーティングへ

お蚕さんが“衣”、お茶は“食”として、次は“住”―。
建築の見学です。今回はコダマメンバーである牧野さんの新居を訪れました。完成したてのホヤホヤです。天井、壁、床、柱に地元の桧を使ったお家は、家じゅうどこにいても木のいい香りが漂っていて癒されます。

コダマメンバーの村澤さんがデザインし、内木さんが手掛けた家具も入り、いよいよ住める状態になりました。しばらくの間はモデルハウスとして公開していく予定だそう。

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まつおさん

ここまでで1日目のイベントは終了!
宿である「こもれびの里」に戻って、ミーティング。そして夜は、お酒も入ったミーティング(!?)です。

東白川村に移住して農業をしている方から、無農薬野菜をたっぷりといただき、朴葉寿司、アユの塩焼き、山菜の天ぷらのほか、メンバーの愛子さんが作ったお漬物など、自然の恵みをたっぷりと堪能した夜。

今回は、飛騨牛も! 豪華!!

お酒が入って気持ちよくなったところで、ホタルを見に行く予定をすっかり忘れていたことに気づくも、時すでに遅し。また、来年…。

翌日は、オーガニックをテーマにした実践会を開催。ミルクカゼインボンドの試作や、東白川村の桧を原料にした漆喰で壁塗りに挑戦しました。

“山ミーティング” 2日目の様子はこちら

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