2020.06.29

コダマプロジェクト活動実践会
“山ミーティング” 開催②

年に1回、コダマメンバーが集まる活動実践会、通称“山ミーティング”。

メンバーがめいっぱい楽しみながら、山のことを深く知り、コダマプロジェクトの商品開発や各々の仕事に活かせることはないか、体験や実践をもとに探っていこうというこの試み。

avatar

まつおさん

2日目のテーマは“オーガニック”です。
天然素材で接着剤を作ったり、漆喰を塗ったり、実際にメンバーで試してみました。

天然素材のボンド!
「ミルクカゼイン」を作る

最初のワークショップは、オーガニックのボンド作りです。接着剤「ミルクカゼイン」をメンバー全員で作ってみます。

ナビゲーターは漆喰職人の福田さん。

avatar

福田さん

ミルクカゼインは、今から5000年も前、エジプト時代から使われていたという文献があり、古くから木工の接着などに重宝されていたようです。では今、なぜあまり使われなくなったかというと、手間がかかるからです

ミルクプロテインと消石灰の配合が難しく、量によっては硬くなりすぎて使えなかったり、柔らかすぎて使えなかったり、一筋縄ではいかない代物で、実際に製作現場で使用する職人の内木さんも苦労しているとか。

作り方のプロセスを紹介すると、

  1. プロテインに消石灰を加え、冷水を入れて混ぜ合わせる
  2. 凝固を防ぐため、絶えずかき回し続けます
  3. 20分~30分ほど撹拌(かくはん)して少し粘り気が出てきたところで完成

完成した「ミルクカゼイン」は、すぐ使わなくてはいけません。
時間が経ってしまうとプルプルのゼリー状になって、接着効果がなくなってしまうのです。作り置きできないので、家具などを作るには何度もこの作業を繰り返すことになり、なかなかの時間と手間がかかるのが想像できます。

新・コダマデスクは完全自然素材で

実は、「ミルクカゼイン」は、改良中の「コダマデスク」に使用されています。

現在、建築の現場や家具製作でもよく使われているのは化学成分を合成させた接着剤。手軽で使い勝手もよく、値段も安いので、当たり前のように使われてきました。

avatar

水野さん

でも、使う人にとって本当にいいものって何だろう? 子どもたちにとって一番いいことって何だろう?

コダマプロジェクトでは、子どもたちが使う勉強机を自然素材で作りあげることにこだわり、たどり着いたのが「ミルクカゼイン」なのです。

「ミルクカゼイン」はどれくらいの強度があるのか、まな板づくりを通して実際に試してみます。接着する面に刷毛で液を塗り、クランプで固定。

翌日には完全に乾いて、力を入れても外れたりはしません。

人や環境にやさしいものを作ろうとすると、今の時代、コストや時間がかかってしまう。けれども、そのこだわりは捨てるわけにはいきません。

例えばこのまな板も、桧の中でも貴重な木曽桧の端材を利用していますが、使う接着剤が化学系のものだったら…。

avatar

まつおさん

自分たちが使うもの、自分たちが作るものにはどんなものを使えばいいのか、きちんと考えて答えをカタチにすることが大事なのだと改めて思いました。

「こだま漆喰」を使って壁塗りDIY

「こだま漆喰」とは、東白川村の桧のおが粉を混ぜ込んだ漆喰で、コダマプロジェクトにちなんで福田さんが開発したオリジナルの漆喰です。

  • 断熱性能がよい
  • 湿気の調節をしてくれる
  • 消臭性能が高い

といった特長があります。

温かみのある色合いの「こだま漆喰」を使い、われわれの拠点「こもれびの里」の壁をみんなで塗らせていただきます。

道具選び、作業工程、コテさばきを教えてもらいながら、塗っていきます。

avatar

水野さん

福ちゃん、これなかなか難しいね~

漆喰をコテに載せるにはちょっとしたコツが要ります。うまく載せられず、ボトッと落としてしまうことも…。

どんどん真剣な表情で集中していくメンバーたち。本職が職人というメンバーは、さすがにみんな器用に塗っていきます。

メンバーみんなで塗り上げた壁。最後にプロ漆喰職人福田さんに仕上げてもらって無事に完成しました!

avatar

まつおさん

こもれびの里」は茶摘み体験や木工クラフトのワークショップなどが楽しめる村営の施設です。どなたでも利用できるので、訪れた際はこの「こだま漆喰」でできた壁をチェックしてみてください。

コダマプロジェクト活動実践会
“山ミーティング” を終えて

初日の養蚕農家さんの見学に始まり、濃厚な2日間でした。
村で1人になってしまっても養蚕を続けるTさんのタフさ、今に満足せず新しいものをどんどん追及し生み出していこうとする若手茶師の情熱と、職人としてのプライドにもふれることができたのは、とても貴重な体験でした。

シルクやお茶、家や家具といった身近にある物がどうやってできているのか、そこにはどんな想いいがのせられているのか―。

そんなことを考えると日々の生活や、身の回りの一つひとつが大切なものに思えてきます。

体験と実践を通じて感じた“楽しい”は、各々の生活や仕事において、もしかしたら大事なインスピレーションの泉となるかもしれません。
“楽しい”の先にあるもの、それを思い描きながらプロジェクトは進行していくのだなと感じました。

(文:まつおまいこ)

Share
facebook
twitter
line
LINEでお問い合わせ