2024.10.13

日帰り森林体験「コダマフォレストキャラバン」始動!①

コダマプロジェクトの“山の拠点”、岐阜県加茂郡東白川村。2014年から毎年この場所で行われてきた「コダマの冒険旅行」を10年ぶりに刷新し、「コダマフォレストキャラバン」として新たにスタートすることが決まりました。
これまでの1泊2日のツアーから一新。だれでも参加できる日帰りツアーにブラッシュアップし、気軽に楽しんでもらえるようになりました。

テーマは「食」と「森林」と「木工」
  • 食と自然を五感で感じる
  • 心の豊かさを取り戻す
  • 山の宝物に触れる

一日のなかでそんなことを実感してもらえたらいいなと思い、山の仲間たちとプログラムを組み立てています。

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まつおさん

本格始動は2025年の春。それに先立って開催されたプレ体験会の模様をお伝えしたいと思います。

▲ お子様連れのご家族も参加してくれてにぎやかに開催されました!

まず「フォレストキャラバン」全体のスケジュールから紹介していきましょう。

と、盛りだくさんな内容です。
全員集合したらまずは入隊式。東白川村の村雲隊長から入隊記念のロゴ入りエコバッグをもらい、キャラバン隊員の体験会スタートです!!

▲ 「コダマフォレストキャラバン」のかわいいロゴ入りエコバッグ。木の実やおもしろい形の枝や葉っぱなど、森で見つけた宝物をどんどん入れてみましょう!

① 昼食用の食材を自分で収穫

今回のプレ体験会では隊長が用意してくれたアユの塩焼きに挑戦!本番は魚をつかみ取りするところからチャレンジしてもらう予定です。

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村雲さん

イキイキと魚が泳ぐ姿を模して串を打つのが踊り串。みなさんにはそんな踊り串に挑戦してもらいます!魚が泳いでいるときのように串を刺していきますよ

アユの口から串をいれて、魚の体をくねらせるようにしながら串を打つのですが、これがなかなかうまくいかない!「体を曲げるってどうやるの?」「ぬるぬるしてすべる!」と、苦戦しながらもなんとか踊り串が完成しました。

焼き上がりには1時間ほどかかるので、その間に次のステップへ向かいます。

② ニワトリを抱っこ!?
古民家で自然農法にふれる

東白川村に住む竹内良雄さんのお宅を訪問。村の古民家に住みながら、農薬化学肥料を使わないコメ作りと養鶏を手がける竹内さんから、貴重なお話を聞かせていただきました。

▲ 1958年生まれ、大阪市出身の竹内さん。30年前から東白川村でコメ作りを手がけていらっしゃいます

「自分が子どものころは、田畑やため池、雑木林がたくさん残っていて、トンボやカエルなどたくさんの生き物とともに自然のなかで過ごしてきました」と話す竹内さん。

世の中が高度成長期に入り、道路やマンションができて竹内さんを取り巻く景色はめまぐるしく変わっていったといいます。自然がなくなっていくのを子ども心に寂しく感じていた竹内さんは、将来は自然を取り戻せるような仕事ができないものかと漠然と考えるようになったそうです。

1990年ごろになるとオゾン層の破壊や温暖化が深刻化し、地球環境の悪化が問題視されるようになります。

「自然環境が破壊されることは、どこか自分とは遠いところの話だと思っていましたが、環境の悪化が深刻化するにつれて自分も当事者の一人であると気づかされたんです」
自分の生活を変えたいと考えた竹内さんは、勤めていた会社を辞めて農業に携わることを決意します。
有機農家で研修を受け1995年に東白川村に転居。まずは村の森林組合で生計をたてながら農地探しをすることに。一人暮らしのご高齢の方の農地を借りられることになった竹内さんは、翌年1996年からコメ作りを始めました。

「技術も経験もほぼない状態でのスタートでしたが、自然界は食物連鎖や物質の循環で成り立っていますので、それをお手本にしてやってきました」と竹内さん。
さらにわからないことは近隣の農家の方や本を読んで勉強。失敗を繰り返しながら学んでいったといいます。

竹内さんの田んぼには、近くを流れる谷川の水を引き入れています。ゲンゴロウやアメンボ、ミズカマキリなど田んぼの生き物たちも自然のまま。しっかりと手をかけて作られたお米はどんな味がするのでしょう。
お話の最後に、竹内さんから参加者全員にお米をプレゼントしていただきました。 竹内さんのお話を思い出しながらしっかりと味わってみたいと思います。

▲ 小川の水もこんなにきれい! これも全部自然の恵みなんですね

さて、15年ほど前から養鶏も手がけている竹内さん。みんなで敷地内のニワトリ小屋へ案内してもらいました。小屋の中を元気に走り回るニワトリがたくさん! ここには100羽ほどのニワトリが平飼いで育てられているそうです。

「土をつついてミミズなどの虫を食べたり、土の上を走ったり、砂浴びをするのがニワトリの習性です。健康に育つための環境作りとして平飼いでのびのび育てています」
ニワトリに食べさせているのは飼料用の国産米や大豆、魚粉とぬかを混ぜて発酵させたもの、茶がらやカキの殻など。餌にも竹内さんのこだわりがつまっています。

▲ ニワトリの餌について、竹内さんの丁寧な説明に耳を傾ける参加者のみなさん

大切に育てられたニワトリたち。なんと触らせてもらえることに! 動物に慣れていないとちょっと怖いかもしれませんが、意外とすんなり抱きかかえることができる人も。なかなかこんな体験はできませんよね。

「発酵鶏糞や米ぬかなどの有機物が小動物や微生物によって分解され、田んぼの稲の糧となります。稲を食べる害虫もいますが、クモやトンボ、カエルといったそれを食べる生物がいるため、田んぼのバランスが成り立っていると思います」。循環と食物連鎖を見守る竹内さんは、自らのスタイルを「多種多様な生き物を育むコメ作り」とおっしゃっていました。

自然の循環のなかで食べ物を育み、生き物を自然のままに育むこの風景と竹内さんのお話は、都会育ちの子どもたちには新鮮に映るに違いありません。

▲ 産卵場所から自分の手で取ってきたたまご。思っていたよりずっしり!

貴重なお話をたくさん聞かせていただき、ニワトリたちが産んだたまごをいただいて、竹内さん宅を後にしました。

③ レモン色のTKG!!
収穫した食材と地元の名物でお昼ご飯

お待ちかねのお昼ご飯。
炭火にかけていったアユがいい感じに焼けて、食欲をそそる香りが漂ってきます。
今回は、村に移住して発酵食やスパイスなどを研究している小林裕幸さんが特別なおかずをご用意してくれました。

▲ 写真右が小林さん。岐阜県中津川市で「養.食.リンネ」を営みながら、“農的暮らし”を実践している小林さん。心とからだを整える“養生食”を提案しています。

<小林さんの発酵MENU>

  • カツオの枯節をのせたトマトとゴーヤと玉ねぎのぬか漬け
  • 季節外れに遡上するシロザケ “トキシラズ” の酒粕漬けときゅうりの糠漬けを使ったポテトサラダ
  • 無農薬の納豆とニンジン、コンブ、ゴマの米麹漬け
  • ピーマン、パプリカ、しらすを使った白和え
  • 醤油麹のカボチャの煮つけと新ショウガ

豪華です!
一品一品手がこんでいるのがわかりますよね。
ちなみに、白和えで使用している豆腐は知る人ぞ知る東白川村の隠れた名産「ヤマサ食品」の豆腐を使用しているんです。なめらかな舌触りと大豆の香りが食材を包み込んで、ちょっと格上の白和えといった感じでした。

▲ 炭火で焼いたアユと竹内さんからいただいたお米とたまご、地元の野菜と味噌で作ったお味噌汁でお腹いっぱいに

そして、先ほど自分でとってきた生みたてのたまごを使ってたまごかけごはん。殻を割ってびっくり! 黄身が黄色い!普段私たちがスーパーで買っているたまごの黄身とは明らかに色が違います。これは飼料にお米を使っているからなのだそう。よく見ると白身がこんもりと持ち上がっています。よく運動したニワトリのたまごは白身もこうしてプルンとしているんですって。

▲ 小林さん自作のたまり醤油をかけていただきます!お箸で溶きほぐそうとしても、白身はプルプル弾力がありすぎてほぐれないくらい!

そうこうしていると後ろでいい香りが!
村雲隊長が地元の名物「けいちゃん焼」を焼いてくれています。「けいちゃん焼」とは鶏肉と野菜をオリジナルのタレで炒めた岐阜県の郷土料理のこと。鶏肉は、たまごを産まなくなったニワトリを使っています。
竹内さん宅で見て抱っこしたニワトリのことを想像すると、複雑な気持ちになるかもしれませんが、これが命をいただくということ。スーパーの食材を見ているだけでは感じられない、実感としての「命」というものを感じるいい機会になりました。

▲ 小林さんが食後のデザートに作ってくれた生米を使ったパンケーキも大人気!

午後の部は、森へ出かけます。
東白川村が管理する母樹林公園で、心と体をととのえる「森林リトリート」体験や、間伐体験など木とたっぷりふれあいます。

日帰り森林体験
「コダマフォレストキャラバン2025」に
参加する!

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