2024.12.25

コダマプロジェクト活動発表会
“街ミーティング2024”開催

2024年も残すところわずか。12/20(金)、10年の節目を迎えたコダマプロジェクトの活動発表会が開催されました。

2014年、リーダー水野さんの「上流の木を使った家具をつくりたい」との想いから始まったコダマプロジェクト。岐阜県加茂郡東白川村の木を使い、子ども用「コダマデスク」をつくることから始めました。

スタートから10年。デザイナー、職人、建築家、さまざまなジャンルの人たちが少しずつ集まり、ゆるやかなつながりが生まれました。今では「家具」「建築」「食品」「素材」「体験」の5つのグループに分かれ、それぞれの得意分野を活かした商品やサービスの開発を進めています。

▲ 「コダマデスク W1000-1500 mm」

コダマデスク W1000-1500mm

年末にはメンバーが集まって、それぞれのグループで活動してきた内容を発表するというのが恒例行事。というわけで、今回は2024年の総括をレポートします!

東濃ヒノキの新プロダクト
「えんとりん」商品化

まず「家具」のグループより、檜創建株式会社の小栗さんと股旅デザイン・村澤さんの取組み「えんとりん」の制作についての発表です。

えんとりん

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小栗さん

檜創建が長年培ってきたヒノキ風呂づくりの技を活かしたブランドを開発しました。ネーミングの由来は「縁(えん)」と「輪・林(りん)」。人と森をつなぐ大きな輪、そんなイメージで名付けました。

▲ 檜創建株式会社の小栗さん

入口という意味をもつ「エントリー」とのダブルミーニングだと話す小栗さん。「えんとりん」をきっかけにコダマプロジェクトとのつながりの入口にたってもらえたら、という想いも込められています。

「えんとりん」の「ベビーバス」は丸型と八角型の2種類。つなぎ目を見せない仕様は、まさに職人のなせる技です。ヒノキの高級感あふれるスルスルとした手触りが心地いい!とメンバーにも評判の作品が完成しました。

▲ ベビーバス丸型

ベビーバス丸型

こちらは2024年ウッドデザイン賞を受賞したとのこと。デザインの特徴について、村澤さんからのコメントです。

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村澤さん

お湯を貯めるだけではない、インテリアとしても成り立つ、子どもと一緒に育っていけるものというのがコンセプトでした。“一生使ってもらえるベビーバス”というのがテーマです。

水遊びに使ったり、足湯に使ったり、子どもの成長に合わせて使い道が広がるベビーバス。ヒノキならではの質感がインテリア性もあって、リビングに置いても違和感がないのが一般的なベビーバスとの違いですね。

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小栗さん

赤ちゃんが生まれたご家庭に、一生モノのプレゼントとして贈ってもらえたらうれしいですね。

▲ ベビーバス角型

ベビーバス角型

続いて、ヒノキのスツール「キキキ」。こちらはスタッキングできるデザインになっています。

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村澤さん

洗面所、パウダールーム、玄関やリビングなどどこでも使ってもらえるスタッキングスツールです。天然素材の美しさが際立つ仕上がりとなっています。

▲ ヒノキ・スツール「キキキ」

ヒノキ・スツール「キキキ」

ほんのりピンクがかった木肌をもつヒノキ。見るからに滑らかな肌触りなのが想像できますよね。スタッキングした時の美しさにもデザイン性の高さがうかがえます。

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村澤さん

小栗さんの会社である檜創建は、東濃ヒノキを使った水回り製品の会社です。日本独特の文化であるお風呂で使うものを考えたとき、「裸で座れる椅子を作るチャンスだ!」と思いました。

さらに村澤さんと小栗さん、お風呂のなかで使用するバス・スツールも完成させたとのこと。その名も「スワリ」。

▲ バス・スツール「スワリ」

バス・スツール「スワリ」

通常のバス・スツールより少し大きめにつくり、まさに“座り”心地を重視した設計になっているそうです。

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村澤さん

例えば温泉旅館などでは脱衣所にラタンの椅子が置いてあったりしますよね。あれをヒノキで作ってみようという話になりました。
素肌で座ることを前提に、肌に触れるところが全部気持ちいいと思える仕上げにこだわっています。

座面のカーブと中央の隙間で水はけがよくなるようにデザインされています。

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村澤さん

木製品の場合、小口から水を吸い込むため変色してしまうことがあります。そのため、劣化しやすい脚には樹脂を採用して、長く使ってもらえるデザインにしてみました。

坐るときにヒヤッとしない、優しい木のバス・スツール。耐久性も考慮し、高級旅館などでも使用してもらえるよう、ハイエンドな仕様になっているとのこと。
すでにこちらは販売がスタートしているそうなので、気になる方は檜創建のホームページをチェックしてみてください。

えんとりん
「コダマベース」の納品事例紹介

コダマプロジェクト建築チームが総力をあげて取り組む、動かせる小屋「コダマベース」。2024年は4件のご成約となりました。
施工を担当する有限会社 マルヨの牧野さんから、納品事例の発表です。

まず1軒目は愛知県尾張旭市の方がご購入。

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牧野さん

トレーラーの上に設置するという特殊な例でした。床高が高いのでデッキをつくって高さを稼ぐという施工をしました。どこにでも置けるという「コダマベース」の理想の設置例といってもいいかもしれませんね。

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水野さん

この場所は市街化調整区域。物置も勝手に設置しちゃダメという区域なんです。ただ、車両としてなら設置OKという条件があるので、トレーラーの上にコダマベースを置くという方法で納品可能になりました

愛知県から遠く離れた大分からもご注文をいただきました。この時はフェリーに乗っての納品。景観にマッチした場所で、ご主人の趣味の部屋として活用されるそうです。

愛知県一宮市では子ども食堂として活用するため、「コダマベース」をご購入いただきました。
本格的な木造のタイニーハウスで、子どもたちがにぎやかに食事をする姿を想像すると幸せな気分になりますね。

「コダマベース」を気に入ってくださって2台目をご購入いただいた方もいらっしゃいます。

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水野さん

愛知県東浦市へは中古の「コダマベース」を納品しました。1台目は現在、宿泊施設として利用されているようです。同じものでも、それぞれのお客様によって使い方がまったく違うのがおもしろいな~と感じています。
納品して設置した途端に改造し始める人もいるんですよ(笑)

「コダマベース」のデザインを担当する株式会社SYNC(シンク)の山田さんからは、岐阜県本巣市で計画が進んでいるテナント貸しの試みについての報告もありました。

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山田さん

敷地内に「コダマベース」を何台か設置してテナント貸しをしたいというご相談をいただいて、今計画を進めているところです。
2棟連結して美容院にしたいという話だったので、どうやって連結するか、水回りをどのような仕様にするかなど、オーナーと相談を進めています。
早ければ1カ月で納品でき、プレハブでは出せない質感が出せるというのがオーナーのニーズにぴったりだったようで、ご成約いただけることになりました。

▲ 株式会社SYNCの山田さん

建築のプロが集まるコダマプロジェクトだからできる納期と柔軟性が、お客様に評価された例といえます。

「コダマベース」は

  • 10㎡以内なので確認申請が不要で税金がかからない
  • トラックでどこへでも運べる
  • 駐車場1台分のスペースに設置できる
  • 東濃ヒノキ、東濃スギを使ったデザイン性に優れたタイニーハウス

といった点で、差別化をはかっています。
昨年販売した8棟の納品事例については、こちらからご覧いただけますので、興味がある方はチェックしてみてください。

「コダマベース」納品事例

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水野さん

2025年の5月には「FIELD STYLE JAPAN」への出店も決まっています。目標は月に1棟の成約!がんばりたいと思っています。

FIELD STYLE JAPAN
スタッキングチェア「ZEN」
試作品をお披露目

家具チームからは、デザイナーの村澤さんと木工職人である有限会社 然の内木さんがタッグを組んだ椅子がお披露目となりました。

▲ 写真奥:有限会社然の内木さん

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内木さん

デザインをいただいた時、最初はまったくイメージできなかったんですが、作っていくうちにだんだんわかるようになっていきました。手作業で進めることも考えたのですが、時間とコストがかかりすぎるため、NCルーターという木工機械を使用して作ることになりました。

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村澤さん

どうやったらコダマプロジェクトらしいものが作れるか、というのがテーマ。去年みなさんにお見せした第一号はヒノキの塊感を出そうというテーマで制作しましたが、今回はスタッキングしたときの見た目を意識してアームと脚のフォルムをデザインしてみました。

▲ 試作品の「ZEN」

横から見ると、「Z」のように見えることから「ZEN」と名付けられた椅子。見た目も美しいですが、構造上この形がとても重要とのこと。

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村澤さん

見えているすべてのパーツがトラス構造となっていて、「Z」の上と下の三角形がお互いに強度を担保しあっているというつくりになっています。商品化するにあたっては、仕口の美しさと耐久性がポイントとなります。新しいコダマプロジェクトのチャレンジとして、正式に商品化ができたらいいなと考えています。

▲ 股旅デザインの村澤さん

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水野さん

今回は家庭用ではなく、行政とかオフィスなど法人で使ってもらえるものがいいんじゃないかと相談しました。機械作業も導入したおかげで、20脚くらいのロッドで制作できるとわかったので、売り込み先の可能性も広がりました。東白川村だけでなく、それぞれの地域の木を使って「ZEN」を作ってみてもおもしろいですよね。

家庭用と公共用では強度に求められるスペックが違います。椅子を商品化するためには重さ60kgの重りを何度も座面に落とすという過酷な破壊試験をクリアしなくてはなりません。家庭用の場合は8000回、オフィスや公共用の場合は12000回落とされても壊れないことを証明しなくてはいけないんです。今回の試作品はこれから破壊試験にかけるとのこと。無事に試験をクリアすることを祈っています!

「コダマフォレストキャラバン」
プレ開催

これまで「コダマの冒険旅行」として1泊2日で開催してきたツアーを、日帰りの「コダマフォレストキャラバン」としてリニューアル。9月にプレ体験会を実施しました。

コダマプロジェクトの根幹である東白川村にて、株式会社ふるさと企画の村雲さんが隊長となって開催された「コダマフォレストキャラバン」。

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村雲さん

東白川村の越原(おっぱら)の大明神というエリアを中心に開催しました。当日は晴天に恵まれ、子ども連れのご家族やご夫婦での参加もあり、にぎやかに開催されました。
米作りと平飼いの養鶏を営んでいる竹内さんから、村での暮らしや無農薬でつくるお米の話などを聞いたり、村に移住してきた小林さんの麹を使った料理をいただいたりしながら、森の恵みを感じてもらえるイベントになったと思います。

▲ 写真右:株式会社ふるさと企画の村雲さん

本開催は2025年3月15日に開催の予定です。まだまだブラッシュアップしていくそうなので、楽しみです。

発表の後はお待ちかねの懇親会です。
今回は、「コダマフォレストキャラバン」でお世話になった東白川村の小林さんより、麹を使った料理を届けていただきました。

▲ 発酵料理のお店「養.食.リンネ」を営む小林さんのおかずは、どれも味がしっかりしていて素材の旨味を感じます

さらに、竹内さんが作った新米のごはんと卵、村でつくった味噌をつかったお味噌汁など、街にいながらにして山を感じられる料理が並びました。

▲ 竹内さんの平飼いのニワトリが産んだ新鮮な卵。
黄身がとても綺麗なレモン色なんですよ~!



プロジェクトに興味をもって参加してくださった方たちと、おいしい料理に舌鼓! 楽しいひとときでした。

プロジェクトメンバーが技術とアイデアを持ち寄って作る商品・サービスは年々認知度もあがり、ユーザーの方からもご好評いただけるようになりました。
各チーム、引き続き新しい取り組みを進めていくそうですので、2025年の活動発表会に期待が膨らみますね!

(文:まつおまいこ)

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