2021.12.08
世界にひとつだけ。「コダマのしめ縄づくり」ワークショップが開催
名古屋市守山区にある家具のショールーム「CONNECT」。
階段を上がると藁のいい香りがふわりと流れてきます。
まつおさん
ブルーシートの上に積まれた藁は、しめ縄を作るためのもの。今回は、年に一度の「木を愛する人たちの祭典・モクフェス」の一環として開催されたワークショップ「コダマのしめ縄づくり」をレポートします。
▲満員御礼!10組のご家族に参加していただきました
撚ってねじりながら綯う。初めての作業
「日本の棚田百選」にもなっている坂折の棚田で育った古代米の藁を使ってしめ縄づくりをします。
古代米の藁は柔らかく、初めての人でも扱いやすいとのこと。実を結ぶ前のまだ青いうちに刈り取った藁は、思ったよりもしっとりとした手触り。この藁を使ってしめ縄づくりのスタートです。まずはウォーミングアップとして、藁を綯(な)う作業に挑戦します。
▲2本に分けた藁を綯って縄を作ります
塚本さん
ふたつに分けた藁をそれぞれに撚(よ)ってから、交差させるように編んでいきます
頭で考えるとわからなくなってきますが、コツをつかんだ人はすんなり。
▲駒宮さん、塚本さんの手ほどきを受けるうちに、最初は戸惑っていた人も少しずつ慣れてきた様子です
藁の感触に慣れてきたところで、いざ本番!まずは藁の束を3等分したら、1/3を残し、2/3を先に編んでいきます。2人1組で1人が根元をぐっと固定し、もう1人が藁を撚って編む作業。最初に束を2つに分け、ウォーミングアップで試したように右回転で撚って左回転に編む、を繰り返します。
駒宮さん
ギュッと力を入れて編んでくださいね
しっかりと撚りがかかっていると、編み終わって手を放してもほどけていかないのだとか。
「わ~、思ったより力がいるんですね!」
初めての縄を綯う作業に参加者のみなさんも驚きを隠せない様子。古代米の藁は、柔らかくて綯いやすいといえ、慣れない作業に力が入ります。
▲僕もしっかりとお手伝い!
乾燥してきたら霧吹きで藁をしめらせて、ひと巻きずつしっかりと綯うのが美しく仕上げるコツだとか。 人間が使うものは2本、神様のものは3本の縄で本縄が出来上がったら、残った1/3の束を巻き付ける作業へ。
駒宮さん
人間が使うものは2本を撚り合わせたものですが、神様のものは3本でできているんですよ
▲しめ縄づくりを教えてくださった駒宮さん(写真右)
本縄のらせんに添わせるようにして、残りの1本を綯っていきます。3本で作った本体が完成したら、バランスを見ながら形を整えます。▲コツは藁を霧吹きでしっかりと湿らせてから力いっぱいねじること
▲丁寧に手取り足取り教えてくださった塚本さん
一般的なしめ縄の形は、大根型、牛蒡型、玉飾りなどがありますが、今回は作りやすいリース型の輪飾りに仕上げていきます▲作業はクライマックス!綯い終わった縄を丸く成型していきます
縄にギュッと力をこめながら丸めていきます。いよいよ仕上がりが近づいてきましたが「綺麗な丸にならないなぁ」
「長さが足りなくなりそう」
と心配そうな声がちらほら。
いびつな丸になってしまってもそこはご愛敬です。
▲リース型のしめ縄、できあがりました!
▲おじょうず!神様も喜んでくれそうですね
▲お子さんたちが作った小さなしめ縄もかわいくできました
「家族で作業ができて楽しかったです」「しめ縄を作る機会はなかなかないので、貴重な体験になりました」
「自分で作ったしめ縄は特別ですね」
と参加したみなさんもご満悦の様子でした。 楽しみながら日本の伝統に触れる
年越しそばや初詣、年賀状、書き初めなど、お正月ならではの風習は失われつつあるといわれています。
しめ縄もそのひとつ。年末に飾る家庭は減っているそうです。ホームセンターやスーパーなどで販売されているしめ縄は外国産の水草が使われていることも多いとか。
▲「おいでん水田」で作られた藁はうっすらと緑がかった色味が美しい
今回先生となって教えてくれた駒宮さんと塚本さんが所属する「おいでん水田」では、古代米を苗から育て、その一部をしめ縄用の藁として乾燥、保管し、年末にしめ縄づくりをしています。稲刈りが自動化され、藁の入手も難しくなってきた今、国産の藁を使って手作りのしめ縄を作るというのは、貴重な体験です。▲息子さんと一緒に教えに来てくれた塚本さん。しめ縄の由来や意味、どうやって作られているのかを教えてもらうことができ、改めて日本の伝統っていいなぁ、と感じることができました
しめ縄飾りは1月15日まで飾り、その後、神社やお寺のお焚き上げ行事で焼納されるのが一般的とされていますが、地域によって一年中飾っておく場合もあります。心を込めて作ったオリジナルのしめ縄、一年間身近で目の届く場所に飾っておきたくなりますね。
(取材・文/まつおまいこ)