2020.06.10
化学物質を使わない「新・コダマデスク」ができるまで
試作の舞台裏、お見せします
7年目を迎えた今年、ついにリニューアルに向けて動き出します。
▲ 左:家具職人の内木さん、中央:デザイナーの村瀬さん、右:プロジェクトリーダーの水野さんの3人で行われた試作品ワークショップ
試行錯誤を重ねた「新・コダマデスク」の試作品が先日完成し、コダマプロジェクトのリーダーであり、「コダマデスク」を販売する家具店の水野さん、デザイナーの村澤さん、家具職人の内木さんの3人が集まって、試作品のチェックをするワークショップが行われました。
まつおさん
試作の舞台裏にお邪魔して、どんなことが行われているのかリポートしたいと思います。
“どんな人にもフィットする” シンプルさを追求した新デザイン
▲ [天板]・[棚]・[足]と3つのパーツでできたシンプルなデザイン。天板の長さはオーダーできます
ワークショップの模様をお伝えする前に、デザインについて簡単に説明してみようと思います。
新しいデスクは、[天板]・[棚]・[足]と3つのパーツのみのシンプルなデザインに変更されました。
というのも、
という想いがさらに強くなったから。
そのためには、手に入れやすい価格で年齢に応じたアレンジができる机として提案したほうがいいと考えたからです。
“どんな人にもフィットする”シンプルさを追求して生まれたのがこのデザインなのです。
「無印良品」の収納ボックスがピッタリと収まります!?
“どんな人にもフィットする”と聞いて思い浮かぶのもののひとつが「無印良品」ではないでしょうか。
今回の「新・コダマデスク」の引き出し部分には、日本のサイズスタンダード「無印良品」の収納ケースがピッタリと収まります。
まつおさん
収ま、収まり、ます!?
ん?収まらない!?
▲ 微妙に棚の高さが足りず、収納ケースが入らない…
いきなりのハプニング!
え?なんで? ちゃんと作ったはずだけど
内木さん
村澤さん
設計図は間違ってないよなぁ
棚の高さが足りず、収納ケースが入らないという事態に。
▲ 「最初から完璧なものができるわけないから。1つずつハードルを越えていきましょう!」と村澤さん
ここが天然の木を手作業で作る難しさのひとつ。木の性質を知り尽くした職人さんですら、こういうことが起きるのは珍しいことではありません。
シンデレラフィットとはいかなかった収納ケースの件は、次回の試作品に反映させることになりました。
化学物質を使わない、完全無添加の接着剤 “ミルクカゼイン”を使っています
▲ 牛乳のたんぱく質(プロテイン)と消石灰を混ぜて作る天然素材の接着剤“ミルクカゼイン”
「新・コダマデスク」のもうひとつの新しい試みは、“ミルクカゼイン”という完全無添加、自然素材の接着剤を使用すること。
接着剤の材料を混ぜるだけで2時間くらいかかっちゃうんですよね
内木さん
保存がきかないため、使うタイミングごとに作らなくてはいけない大変な作業。でも、安全なものを安心して使ってもらうためのこだわりには代えられません。
ほかにも難しい点があるそうで…
ここなんですけど。張り合わせから染み出てきた“ミルクカゼイン”は、黒いシミになってしまうんですよ
内木さん
▲ あまり目立たない場所とはいえ、シミは気になります
確かに。
パッと見は分からないのですが、ブックスタンドの張り合わせ部分がシミになっています。
表面を削ることができれば改善できるので、ここは、ブックスタンドの引っ込みを出して、[足]と面合わせをすることでなんとかなりそうです。
設計図を書き直し、こちらも次回の課題となりました。
傷がついても削って磨ける
針葉樹ならではのたっぷり感あふれる天板
▲ 厚さ40mmの天板
村澤さん
天板の厚みはどう?僕的には、まな板をイメージしているんだけれど
キズがついても削って使える木のまな板。針葉樹である杉できた「コダマデスク」は柔らかい性質のため、広葉樹と比べるとキズがつきやすいといわれています。
でも、表面の傷はこれだけの厚みがあれば、まな板のように削って使うことができるのです。
▲ お客さんの傾向や意見を反映させ、デザインをブラッシュアップ
村澤さん
広葉樹ではこの感じは出せないからね。針葉樹ならではの柔らかい質感とたっぷり感を出せる厚みにはこだわりたいところだけど
そうですね~、ちょっとゴツイ感じもあるかなぁ
水野さん
3人で相談した結果、40mmあった厚みを30mmに変更することに決定しました。
▲ 修正箇所を反映し、試作第2弾を制作します
今回のワークショップでの大きな改善点は
の3点となりました。
そのほかの細かい調整を含めて、次回の試作に反映させる予定。ブラッシュアップされた次回作が楽しみです。
水野さん
「コダマデスク」はお子様に向けた学習机です。
ですが、大人になってもずっと愛着を持って使い続けてもらえるよう、年齢とともに変化し続けられる机として、シンプルさを追求しています。
みなさんの元にお届けできる日を楽しみにしつつ、さらなる改良を進めていきますので、ご期待ください。